ANA LOUNGEがプライオリティパスで利用できるという、現在、実態は伴っていませんが、大きな衝撃が広がっており、目的と影響を考えてみました。
概要
今回のANA LOUNGEがプライオリティパスで利用できる概要は下記のとおりです。
プライオリティパスで利用できるANAラウンジ
羽田空港第3ターミナル
成田空港第1ターミナル(第5サテライトのゲート52付近)
いずれも、現時点ではクローズしており、空いているANA SUITE LOUNGEの利用ができるのか、それとも今回の開放に合わせてオープンするのか不明ですが、もしそうだとするとANA会員はSUITE LOUNGE、プライオリティパス利用者はANA LOUNGEと区別するのかもしれません。
まだ、実質的にオープンしていない第二ターミナルのANA LOUNGEがどうなるかは不明ですが、ピュアANA便であり、このターミナルだけは開放してほしくないところでもあります。
いずれにしても、ANAやスターアライアンス加盟各社の上位クラス、上級会員が利用できた聖域に外部の会員が入ってくるのは大きな衝撃と言えます。
永年ダイヤモンド会員のため、ANA LOUNGEに入らなかったため、SUITE LOUNGEの内部の様子しかありませんが、下記の記事にしています。
ANA LOUNGEがプライオリティパスで利用できる目的
ANA LOUNGEがプライオリティパスで利用できる目的についてはANA側、プライオリティパス側からの両方からの見てみたいと思います。
成功絵巻
ソフトローンチと書いているように途中で取りやめとなることも前提であると双方、メリットがとなるかデメリットとなるか、はっきり確信がないと言えます。
ただし、こうした取り組みをすると言うことは成功絵巻を描いているわけであり、ANAにとっては設備効率のアップ、外部収入の拡大と言ったことが考えられ、プライオリティパスにとっては、日本市場における会員数拡大、会員への東アジア地区でのサービス拡充などが考えられます。
羽田空港であれば、ANAとJALは現時点では同一ターミナルを利用しており、JAL便利用でもプライオリティパスがあれば、ANAラウンジを利用できることとなります。
リスクも
一方で、稼働率が上がると混雑することも想定され、増収分を増床などの再投資にすればよいのですが、時間がかかるとなれば、既存顧客(ANA便ビジネスクラス利用の非会員、プラチナ会員、スーパーフライヤーズ会員)にとっては、サービス低下となることも考えられます。
プライオリティパス側にとってはサービスレベルが下がると日本で会員が増えたとしても、世界各地を飛び回るような利用者がサービスの質が落ちたとなれば、世界的にネガなイメージがついて影響もあります。
会員とさえなって仕舞えば、ストックとなるので、放置してもチャリンチャリンかもしれませんが、今は世界中ですぐに拡散してしまう時代であり、サービスの質や利用者の声をに傾聴したり、定額であっても利用が少ない人のエンゲージをしないと「満足なサービス」だと思ってくれないので、そう考えているのであれば、結構大きな決断だったかもしれません。
ただし、コロナ禍で国際線需要がほとんどなく、デメリットとなる懸念が少ない中で、新たな需要がどんな効果があるか試すのが主のように見え、悲報や改悪と言う言葉を使うにはまだ早そうです。
SFC会員は減少に転じるか
SFCとは、その獲得のためのコスト
SFCはANAカードが発行するANAスーパーフライヤーズカードの略称であります。
ANAスーパーフライヤーズカードは年会費を払い続けるとANAプラチナ会員で付帯される特典であるANAラウンジ利用が、毎年プラチナ会員以上のステータスを維持しなくても、利用できるのが最大のメリットであります。
また、海外ではANAが加盟する航空連合「スターアライアンス」において、ゴールド会員の資格が担保され、スターアライアンスに加盟する航空会社利用時には同航空会社が運営または提携しているラウンジが利用できる魔法のカードでもあります。
SFCカードの年会費は11,275円からであり、この魔法のカードを取得するために一念発起して、1年限りのプラチナ会員の資格を得るための活動である「修行」をする人もいます。
修行にかかるコストは20万円から30万円前後であり、初期コスト30万円、年額コスト約1.1万円でラウンジを利用できるステータスを維持できるものとなります。
中には、アクセス増のためにダイヤモンド会員になってもSFC修行記と言ったタイトルで記事を書かかれている人もいますが、ラウンジを利用していたり、既に内側の人の感じがしたり、あまり面白くなかったりします。
プライオリティパス
一方で、プライオリティパスについては、同社自体でサービスを販売しており、下記のように利用頻度に合わせてプライシング(年会費)しています。
スタンダード(旅行頻度が少ない方向け) 99USD
スタンダード・プラス(定期的に旅行される方向け)299USD
プレステージ(頻繁に旅行される方向け)429USD
スタンダードは完全従量制でラウンジ1回あたり、32USDがかかり、スタンダード・プラスは10回分までは無料、その後は1回あたり32USDがかかります。
プレステージは使い放題(同伴者は32USD)となります。
使い放題のプレステージを毎年利用するのとSFCを比較すると7年~8年でSFCの方がメリットとなる計算となります。
これだと今一、メリットかデメリットか、そもそもラウンジ利用にそこまでお金をかける必要があるのかと言うことになります。
楽天プレミアムカードの圧勝
世界各地にはクレジットカードを発行する事業者がおり、様々な特典がついています。
その中でもプライオリティパスはメジャーな特典であり、プライオリティパスにとっては、会員を飛躍的に拡大する機会であり、クレジットカード事業者にとっては会員囲い込み効果もあります。
日本国内のクレジットカード事業者においても、三井住友カードのプラチナカードをはじめとしてプライオリティパスを付帯しているところがあります。
そんな中でも、楽天カードの楽天プレミアムカードは年会費が11,000円でありながらも、同サービスが付帯され、プライオリティパスが直接提供するサービスで言うプレステージ相当の使い放題のレベルとなっています。
楽天モバイルでもわかるように無料で呼び寄せて同社の強い(コマース)などに引き込んで方法なので、これだけ見るとかなりお得な特典であります。
以上から比較すると、SFCカード取得すること楽天プレミアムカードを発行することでは圧倒的に後者の方が低コストでサービスが享受できます。
SFC会員減少は確実
海外に行く事を前提に考えるとANAの国際線ラウンジ(現時点では羽田空港と成田空港の一部のみ)がプライオリティパスで利用できることは大きな衝撃でもあり、スーパーフライヤーズカードを持とうと言う意義は大きく薄れてしまいます。
一方で、国内線のANAラウンジはプライオリティパスでは利用できず、国内移動が多い人にとってはSFCカードの方がメリットはありそうです。
海外に行けない現在はメリットも薄く、SFCカード会員申し込みや退会というのは進まないものの、国際線の利用が自由にできてくると確実に減るのではないかと思います。
そして、国内線移動など必要な人だけが持つと言う正常化が進むのかもしれません。
年会費を黙って払ってくれるSFC保有者が減っても、SFC会員で国際線ラウンジをバンバン使う人が減るコスト削減とプライオリティパス側からANAラウンジ開放にわる収入拡大、そしてアクティブなSFC会員を大事にしていく方が長期的な利益があると模索しているのかもしれません。
最後に
個人的にはこうした開放があると一部の既存会員に影響があり、新参者の方がメリットは大きいと言うのは必至かなと感じています。
ダイヤモンド会員は今回の開放で大きな影響はありませんが、プラチナ後半会員(7.5万PP以上)がスイートラウンジに入る機会が拡大したりするとどうなるのか楽しみです。
内容自体は衝撃でありますが、現在は国際線に乗る機会がほぼないので、実感は少なしと言ったところです。それが実現した時にどうなるかに注目です。