ANAでは師走から年始にかけて、特定の路線で増便をすることを発表しました。その中でも日本最長級の路線である羽田⇔石垣間でも増便し、ワイドボディ機のボーイング787-8国際線仕様機もほぼ毎日運航されるため、整理してみました。
ANAの年末年始増便
ANAでは下記の路線で2020年12月1日(火)~2021年1月31日(日)の間に下記の路線で増便をします。
羽田発着
新千歳、福岡、沖縄那覇、函館、宮古、石垣
名古屋発着
新千歳、沖縄那覇、函館、鹿児島、長崎、
大阪関西発着
宮古
沖縄発着
宮古
石垣路線をクローズアップ
殆どが年末年始(12/25~1/5)の増便となっています。冬休みを分散化する話もあり、そうなると後半に増便延長となるかもしれません。その中で、特徴的であるのが羽田⇔石垣路線です。
週末を中心に一日往復の増便をしており、運航日は下記のとおりです。
12月 4,5,6,11,12,13,18,19,20,26,27,28,29,30
1月 1,2,3,4,5
そして、タイムテーブルは下記のとおりです。
ANA1451便 羽田発12:55→石垣着 16:20
ANA1452便 石垣発 18:10→羽田着 20:45
年末年始だけでなく、12月の週末も増便されており、なかなか座席が取れない同路線ですが、週末は一気に拡大しそうです。
また、通常の石垣便は羽田を早く出発するため、早起きが前提でしたが、臨時便は13時前出発となります。また、復路も18時過ぎの出発となり、石垣のホテルでレイトチェックアウトをしてゆったり行けそうです。石垣空港にはANAラウンジはないため、搭乗時間に間に合うようにホテルを出るのが良いかもしれません。
豪華な機材のラインアップ
そして、興味深いのは機材であります。12月1日から1月5日の間は全便ボーイング777-200か787-9か787-8(国際線機材)となります。機材だけ見ている香港やホーチミンのような都市であるかと錯覚も感じてしまいます。
そして、怒涛のプレミアムクラス42席設置の78Mが12月25日を除いて、毎日一往復設定されているのが特徴です。
羽田⇔石垣線のプレミアムクラスは通常では21席から33席ですが、同期間中は81席から84席となり、2.5倍から4倍の供給量となります。
他の路線でもそうですが、ANA史上、もっとも豪華なプレミアムクラス路線と言えます。
78Mの運航スケジュール
78Mの運航は臨時便に限らないため、12/1~1/5までの羽田発と石垣発の78M設定状況を確認してみました。下記のとおりです。
平日は定期運航便に、週末は臨時便での運航となり、ほぼ毎日選択ができると言う国内線では豊穣な路線と言えます。
ANAアプリも国際線機材に対応
国内線機材ではANAアプリで当たり前のように接続するようになったANAアプリの国内線機内Wi-Fiメニューですが、国際線機材は対応していませんでした。そのため、ブラウザ経由で接続する必要があるのですが、時間がかかっていました。
11月11日に4.2.25にアップデートされ、国内線機材と同様に利用できるようになりました。これで操作に戸惑うことはなくなりました。
同路線で3便運航される日には772が2往復、78Mが1往復のパターンもあります。こうした場合に退役間もない772には国内線機材ですが、Wi-Fiなし、一方で78Mは国際線機材でWi-Fi付というねじれも起きたりします。
国内で運航されている国際線機材はA320neo(32P)、B777-300ER(773)、B767-300ER(763)、そして78Mと結構利用範囲が拡大されることともなります。
石垣路線になぜ国際線機材を投入?
なぜ、石垣路線に12月に毎日プレミアムクラスの座席を80席以上提供するか考えてみました。
まず、石垣を中心とした八重山列島にはインバウンド需要もあり、近年高級ホテルが軒並み開業や増床していたりします。これらのホテルは国内の富裕層にも人気でありますが、中国などの富裕層にも人気でありましたが、今は国際間を実質自由に行き来できなくなっています。
逆に言うと、日本人がそうしたホテルに行く余地があり、綺麗な自然と新しい施設となれば魅力的であります。
そして、Go To トラベルキャンペーンがあります。同キャンペーンは定額補助ではなく、低率補助であり、お得感を考えると一泊5万円ホテルではお得度は2.5万円、一泊5千円のホテルではお得度は2.5千円となり、前者に魅力を感じます。
そうした中で、価格帯の高い八重山に多いホテルを利用しようとなると羽田直行便が利用できる石垣便の需要が高まります。
中でもホテルは豪華なのに飛行機はシートピッチの狭い普通席を敬遠するも、座席が満席となると不満が募ります。
そこで、プレミアムクラスを大量に設定することで、それが解消され、満足度向上、ホテルは満室とつながり、味を占めてリピートとなると収益につながると見ているのかもしれません。
ホテル行きの乗客でプレミアムクラスが埋まらないとしてもISG路線は国内屈指のプレミアムポイントが稼げる路線であり、マイラーの搭乗も多いと言えます。そして、有償でプレミアムクラスにアップグレードすればプレミアムポイントはさらに増加します。
そうした背景から富裕層とマイラーで80数席の供給量をカバーできると踏んでいる可能性があります。
また、競合するJALについては、グループ会社のJTAが小型機2往復であり、JALにキャッチアップされる前にGo To 需要を呑み込み、その後の富裕層とマイル修行僧(層)でリカーリングしていこうとしているのかもしれません。
あくまで私見ですが、遊休している国際線機材を国内で活用することで整備コストとパイロットの有効活用やプレミアムクラスを大量設定することで、飽和状態にある需要をカバーし、ホテル宿泊と関連した需要を取り込み、フライト当たりの収入アップが考えられます。
そして、これまでの少数席であったプレミアムクラスから座席数拡大でANAダイヤモンド会員の満足度向上もあるかもしれません。
ANAがプレミアムサービスキャリアに変化するためのトライアルなのかもしれません。というよりも二度ともとには戻れない滑走路を離陸したのかもしれません。
最後に
これが1月以降も継続されるとANAマイル修行2021にも関連してくることとなり、ISGアップグレードが解脱のショートカットとなりそうです。
そうでなくとも3時間弱あるフライトを広々として余裕ある国際線機材のプレミアムクラスを堪能できるとそれだけでも良いかもしれません。
師走は忙しいですが、2020年最後のプレミアムポイントを貯めにISGに行ってみたくなりました。