
78Pや722は一見、単なるアルファベットと数字の羅列に過ぎないこのコードですが、毎週のように地方と羽田を往復する会社員にとって、これは単なる記号ではありません。それは、「そのフライトの快適性、座席の当たり外れやプレミアムクラスの座席数を一瞬で理解できるものであります。
しかし、ここ数年、ANAの国内線システム(予約・搭乗管理システム)の全面刷新に伴い、長年親しまれてきた「78P」や「73P」といったANA独自のハウスコード(国内線専用コード)が次々と姿を消し、世界標準の3桁コードへと大移行を遂げています。さらに、いよいよ2026年6月から導入が始まる最新鋭機「737-8(MAX8)」の足音も聞こえてきました。
そこで、どのように変化したのか、今後導入される機材はどうなるかなど、ANA国内線機材コードについてまとめてみましたので、お伝えします。
- なぜANA国内線の機種コードは変わったのか?
- 新旧機種コード対比表と各機材の解説
- 国際線最高峰「77W」が国内線に運用時は
- 2026年6月デビュー、新型機「737-8(MAX8)」のコードはどうなるのか
- 最後に
なぜANA国内線の機種コードは変わったのか?

長年、ANAのマイルを貯め、国内線に乗り慣れた人ほど、予約画面で「738」や「763」という文字を見たときに、かつての「73P」や「76P」を懐かしく、あるいは少し寂しく思うかもしれません。この変化の理由は、ANAが断行した「国内線旅客システムの刷新」にあります。
かつてANAの国内線は、独自のドメスティックなシステムで運用されていました。そのため、シートマップや機種を管理するコードも、日本独自の「ハウスコード」が多用されていたのです。
- 末尾の「P」:主にプレミアムクラス(Premium)を搭載した国内線専用機
- 末尾の「G」や「K」:新シートの世代や仕様違いを区別
しかし、ANAは国際線で世界大手のシステム「Amadeus(アマデウス)」を採用しており、国内線システムとの二重管理や、国際線から国内線への乗り継ぎ時のシステム連携に課題を抱えていました。そこで、国内線システムも国際線基準のグローバルスタンダードへ統合・刷新する道を選んだのです。
世界共通の航空システム(IATA標準)では、機種コードは「788(787-8)」や「738(737-800)」のように、数字3桁で表すのが基本です。システム統合を進める中で、ANA独自の「P」などが付くハウスコードは順次、排除され、世界共通の3桁コード、あるいは国際線共通の運用コードへと統合されることになりました。これが、私たちの見る予約画面が「シンプルかつ世界基準」へと変化した背景です。
新旧機種コード対比表と各機材の解説
ボーイング787シリーズ:進化するドリームライナー
78K → 781
「78K」は、ボーイング787-10の国内線新仕様機。プレミアムクラスが28席あり、普通席にも全席パーソナルモニターが完備された、現在のANA国内線のフラッグシップの一つです。これが新システムや国際線共通の管理において、主に国際線仕様の787-10が国内線に間合い運用(あるいは機材変更)で入る際、「781」といった表記で整理・区別される動きを見せています。Iは1を間接的に意味することもあるかもしれません。
78G/789 → 789
「78G」は、GE(ゼネラル・エレクトリック)製エンジンを搭載した787-9の国内仕様機を指すハウスコードでした。これもシステム上、世界標準の「789」へと統合されています。予約画面では同じ「789」に見えても、シートマップを開くと28席のプレミアムクラスが並ぶ「当たり機材」であることが分かります。
古いプレミアムクラスのシートの古参のB787-9国内線仕様機は現在、ANAのホームページのシートマップでは789(18席)はなくなっています。
78P/78M → 788
かつて羽田発着の幹線や地方主要路線で最もよく見かけた「78P」は、787-8の国内線従来仕様機(プレミアムクラス12席)でした。これが世界標準の「788」に統一。
そして、航空ファンに最も愛されているコードが「78M」です。これは国際線仕様の787-8(ビジネスクラス・プレミアムエコノミー・エコノミーの多クラス仕様)を、そのまま国内線で運航する際の大人気コード。新システム下でも、この「国際線間合いのモンスター機材」としてのアイデンティティは維持されています。
まあ、最近は国際線の方が忙しくて、国内線ではなかなか見かけませんが。
ボーイング777シリーズ:日本の幹線を支える巨人たち
773 → 773
ボーイング777-300型機。プレミアムクラス21席、普通席493席、合計514席という、世界でも類を見ない「詰め込み仕様」の国内線専用巨大ジャンボです。新システムでもコードは「773」のまま据え置き。PWP(プラチナ・ワイド・ボディ)の圧倒的な輸送力は健在でありますが、ただ、もう少しで見られなくなるので、空席があれば乗った方が良いでしょう。
772/722 → 772
ボーイング777-200(およびER)型機。一時期はエンジンの不具合による運用停止など苦難の時期もありましたが、現在は見事に復活し、21席プレミアムクラス(あるいは一部28席最新仕様の722等)を搭載して羽田〜伊丹・福岡・那覇などの主要幹線で飛んでいます。新システムでは「772」にコードが収斂されています。
ボーイング767シリーズ:ベテラン機材の生き残り戦略
76P/76E → 763
ANAの近代化を長年支えてきたセミワイドボディ機、ボーイング767-300型機。国内線専用の「76P」(プレミアムクラス10席仕様など)は、世界標準の「763」へと表記が変わりました。
ここで見逃せないのが「76E」です。これは国際線仕様の767-300ER(Wi-Fi完備、ビジネス/エコノミー仕様)が国内線に入る際のコード。763という標準表記に隠れつつも、国際線機材特有の重厚な座席と静粛性を楽しめる隠れた名機です。
最近は金浦線にべったりなのか、国内線ではあまり見ません。少し前は美保(米子)線によく投入されていたことがあり、需要なのか、金浦線の訓練のためなのか不明でしたが、今はどうなのでしょう。
ボーイング737&エアバスA320/321:小型機のグローバル化
73P → 738
地方路線や夜間・早朝のローカル線で八面六臂の活躍を見せるボーイング737-800。これまではプレミアムクラス8席を持つ国内線仕様が「73P」と呼ばれていましたが、完全に世界標準の「738」へと統一されました。今やANA国内線でもっとも機体数の多い、もっとも見かけるコードです。
321 → 321
エアバスA321neo(および一部ceo)。全席パーソナルモニター、PC用コンセント完備で、ナローボディ(単通路機)の概念を覆した大人気機材です。比較的新しい導入だったため、最初からハウスコードに頼らず「321」で一貫しています。
32P → 320
従来型のA320ceoを指していた「32P」から、A320neoへのリプレイスやコード整理に伴い、シンプルな「320」表記へと移行が進んでいます。
本来であれば、中国やロシア・ウラジオストクに使われる便でしたが、昨今の情勢もあり、国内線で使われている機材でもあります。あまり、国内線との違いもないので、意識はありません。
Q400:地方の翼もより正確な表現へ
DH8 → DH4
ANAウイングスが運航するプロペラ機、デ・ハビランド・カナダ DHC-8-Q400。これまではシリーズ総称としての「DH8」が使われることが多かったのですが、新システムへの移行に伴い、より正確なサブタイプ(-400シリーズ)を示す「DH4」へと変更されました。プレミアムクラスはありませんが、ジェット機に負けない巡航速度と低い高度からの美しい景色が楽しめる、西日本や北海道の離島路線の主役です。
まあ、マニアの間ではボンQと言う方がしっくりくるかと思います。
以上、現行機種の解説でした。
国際線最高峰「77W」が国内線に運用時は

この機材コードのロジックを語る上で、外せない究極の例外が「77W(ボーイング777-300ER)」です。
通常は成田や羽田からロンドン、ニューヨーク、フランクフルトといった長距離国際線のファーストクラス・ビジネスクラスを運ぶフラッグシップ機。これが、お盆や年末年始、ゴールデンウィークの超繁忙期、あるいは国際線スケジュールの隙間を縫った「間合い運用」として国内線(羽田〜那覇、羽田〜伊丹など)に投入されることがあります。
787-8の場合は「78M」という国内線専用のコードが用意されていましたが、777-300ERに関してはこれまでは「773」でWiFiなしが予約画面での識別でしたが、今後はどうなるのでしょう。国際標準であれば、77Wとなりそうですが、どうなのでしょう。
ちなみに国内線運用時の各クラスのシートは割り当ては以下のとおりです。
ANAマニアには歓喜極まる運用ですが、グランドスタッフ泣かせの機材変更でねあります。
通常の国内線専用777-300(773)は514席ありますが、国際線仕様の77Wは豪華な座席配置のため、総座席数が212席〜264席程度しかありません。もし「773で運航予定だった便が、急遽77Wに変更」となった場合、座席数が半分近くに減るため、予約客が溢れかえって大騒動(インボラアップグレードの連発や、別便への振り返り調整)になるという、空港現場泣かせの一面も持っています。
2026年6月デビュー、新型機「737-8(MAX8)」のコードはどうなるのか

そして今、ANAの機材コードの歴史に新たな1ページが加わろうとしています。それが、2026年6月に初号機が受領され、順次日本の国内線に投入されることが決定している「ボーイング737-8(737 MAX 8)」です。
ライバルのスカイマークが2026年5月末に日本初の737 MAXをデビューさせたばかりですが、ANAもついにこの最新鋭ナローボディ機を戦列に加えます。
ここで気になるのが、「予約画面での機種コードはどうなるのか?」という点です
「738」との重複をどう回避するか?
現在、ANAの国内線システムでは、前述の通り既存の737-800が「738」というコードで登録されています。しかし、国際標準(IATAコード)において、新型の737 MAX 8も同じ「738」(またはB38M)に分類されます。既存の737-800と、新型の737-8(MAX)は、燃費性能や機内設備(全席モニターの有無など)が全く異なるため、予約段階で乗客が区別できるようにしなければなりません。
新システム下において、ANAが取る戦略は以下の2つのいずれかになると予想されています。
パターンA:新ハウスコード「73H」や「73M」の導入
JALの一部機材や海外の航空会社で見られるように、MAX機材を明確に区別するため、国内線予約画面上で「73H」(MAXの頭文字や、シートマップ違いを示すコード)や、国際線共通の「73M」といった新しい3桁の英数字を割り当てる方法です。これまでのANAの「32P(A320neo以前)」や「78M」の歴史を考えると、非常に現実的なラインです。Mの方が日本人にはわかりやすい感じもします。M資金、BMW Mなど。
パターンB:「738」表記のまま、シートマップで識別
コード自体は国際標準に従って「738」のまま統一し、座席指定画面(シートマップ)を開いた際に、プレミアムクラスの座席数や配列の違い、あるいは「全席モニター付き機材」というアイコンを表示して識別させる、システムをシンプルに保つ方法です。
個人的にはこれまでMAXの搭乗経験からすると78Mになるのではないかと感じます。プレミアムクラスの座席数とかも気になるところであり、ここ数か月、良くも悪くも話題を提供し続けているANAは6月も新なサプライズを出してくるかもしれません。
737-8(MAX)の妄想
コードがどうなるにせよ、この新型機「737-8」の導入は、地方路線や機動的な弾丸旅行において、快適性を劇的に向上させるでしょう。ちょっと怖いですが。以下はスペックを妄想してみました。
さすがに国際線のようにフルフラット個室はないでしょうが、収益拡大を目的にプレミアムクラスの座席を増やすと言うのはあり得るかもしれませんね。一気に5列、20席とかで攻めてくるかもしれません。ターキッシュエアラインズとかも738でビジネスクラスを増やしていた過去もありますからね。
最後に
ANAの国内線機種コードが「78P」から「788」へ、「73P」から「738」へと変わったこと。それは単にシステムが新しくなったという事務的な話ではなく、日本の国内線が、世界の航空ネットワークと完全に同期し、よりシームレスでグローバルな存在へと脱皮した証です。
そして、その新システムの上で、まもなく「737-8(MAX)」という新しい翼が、新しいコード(あるいは新しいシートマップ)を引っ提げて日本の空を飛び始めます。
次にANAのウェブサイトやアプリでフライトを検索するときは、ぜひ出発時刻や価格だけでなく、その横にひっそりと表示されている「3桁のコード」に目を向けてみると面白いかもしれません。
新たに表示されるであろう「73M」や最新のを狙って、全席モニター付きの最新鋭機をいち早く体験するというのもありかもしれないでしょう。