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ANAのロゴはいつ変わるのか?創立75周年の節目かその先か?

見慣れたはずのその青が、どこか少しだけ「過去」のものに見えた瞬間がありました。2026年4月、初夏の陽光に照らされた羽田空港。そこに佇むトリトンブルーの機体は、40年以上にわたり日本の空の象徴として君臨し続けてきました。

しかし、航空業界を巡る環境が激変し、サステナビリティや技術革新が加速する今、この伝統的なデザインが「完成形」であり続ける時間は残りわずかと言う可能性もあります。今回はデザイン変更について考えてみます。

羽田で見える安定感

羽田空港第2ターミナルに行き、制限エリアに行けば当たり前の青の世界。ラウンジからの「トリトンブルー」の安定の世界です。その垂直尾翼に描かれた「ANA」の三文字。1982年にボーイング767とともに産声を上げたこのデザインは、私たちがこの20年、あるいは40年もの間、疑うことなく「日本の空の象徴」として受け入れてきたものです。しかし今、航空業界の時計の針は、かつてない速さで回転しています。

「ANAのペイントは、いつ変わるのでしょうか?」

この問いは、もはや航空ファンの単なる空想ではありません。経営戦略上の合理性と、サステナビリティという巨大な重力、そして何より2027年に控える「創立75周年」という歴史の節目が、そのXデーを具体的に示しているようでもあります。それとも100年の2052年なのでしょうか。その年だと、個人的には草葉の陰から見ていそうです。

現在のANAのサイン

現在のANAの機体デザイン(リバリー)は、1982年のボーイング767導入と1986年の国際線進出という「第二の創業期」に誕生しました。このアイデンティティを確立させたのは、当時米国パシフィック・ビジョン社のクリエイティブ・ディレクターを務めていた日本人デザイナー、高橋経(たかはし けい)氏です。彼は「国内線のANA」というイメージを打破し、国際社会に通用する信頼と品格、そして日本の美意識を融合させた新しいシンボルを構築しました。

デザインの核となるのは、垂直尾翼の「ANA」ロゴと、機体後部へ流れる二色のブルーラインです。1970年代までの「ダ・ヴィンチのヘリコプター」図案から決別し、タイポグラフィを主役としたモダン・クラシックなスタイルを採用。その安定感ある書体は、空という不安定な環境における「絶対的な信頼」を視覚化しており、40年以上経った今も普遍的な美しさを保っています。

このデザインを象徴するのが、「トリトンブルー」と「モヒカンブルー」の調和です。主役の濃い青「トリトンブルー」は、波を鎮める力を持つギリシャ神話の海神トリトンに由来し、国境を越える旅の安全を守り抜く決意が込められています。一方、寄り添う淡い青「モヒカンブルー」は、1969年からの旧標準塗装の色を継承したものです。新しさの中に旧時代の記憶を「差し色」として残すことで、先達が築いた安全への執念と伝統への敬意を表現しています。

高橋氏のワークが卓越していたのは、機体を「躍動する生命体」と捉えた点にあります。尾翼へ駆け上がるラインは離陸の瞬間の高揚感を想起させ、駐機中であっても大空へ飛び立とうとする強い意志を感じさせます。この構成は、ボーイング747から最新の787に至るまで、機体の素材や形状が進化しても見事に調和し、「日本の空のスタンダード」として定着しました。

このデザインが長きにわたり愛される理由は、造形美以上に、関わる「人」の想いと重なってきたからです。乗客には旅の安心を、社員には職務への誇りを与えるこの青い翼は、もはや単なる塗装ではなく、日本の航空文化を形作る「共通の記憶」へと昇華されました。海神の加護と伝統を宿したこのデザインは、ANAの歴史そのものであり、未来へ進むべき道を指し示す北極星のような存在であり続けています。

いみじくもヨーロッパ線は北極星の方向に飛んで行くのは何かの縁かもしれません。

2026年、ブランドの「整理」が告げる前兆

かつて、ANAのグループ戦略は「フルサービス(ANA)」「LCC(Peach)」「中距離国際線(AirJapan)」という三本の矢で構成されていました。しかし、2026年3月、その一角であった「AirJapan」ブランドがANA本体へと集約・吸収されるという電撃的な統合が行われたことは記憶に新しいところです。この統合は、一体何を意味しているのでしょうか。

それは、ANAホールディングスが「多様性」という名の下に分散していたリソースを整理し、ブランドの純度を極限まで高める決断をしたということです。AirJapanの機体から順次、あのピンクと紫のラインが消え、トリトンブルーへと塗り替えられていきます。この「塗り替え」の作業こそが、実は次なるデザイン刷新への壮大な「予行演習」になっているのです。

同じく2026年、グループの弟分であるPeachは、デザインオフィス「nendo」の手によって、15年間守り続けた姿を一新しました。従来の「安さ」を象徴する鮮烈なピンクから、落ち着いたアイボリーと熟した桃のようなトーンへ。
「伝統ある本体」と「進化するLCC」。この対比を最大化させるために、本体であるANA側にも「伝統を現代に合わせてアップデートする」という宿題が課されたと言えるでしょう。

2027年12月 「内側」が先に変わる日

ANAが機体ペイントを変える日を予測する上で、最も重要なマイルストーンがあります。それが、2027年12月の「創立75周年」です。
このタイミングで、ANAはすでに「全職種の制服全面刷新」を公式に予告しています。

パイロットの制服は37年ぶり、整備士に至っては実に39年ぶりの刷新となります。デザインを手掛けるのは、滝沢直己氏、桑田悟史氏、そして世界的なスポーツブランドである「アディダス」です。この豪華な布陣は、ANAが「単なる航空会社」から「最高のパフォーマンスを発揮するプロフェッショナル集団」へと脱皮しようとしている証拠です。

整備士がアディダスの最新テクノロジーを凝縮したウェアに身を包み、パイロットが現代的なカッティングの制服でコックピットに向かいます。その背景にある機体が、45年前の1982年に定義された「トリトンブルー」のままで、本当にブランドとしての一貫性が保てるでしょうか。

「内側(人)」がこれほど劇的に変わる時、それは往々にして「外側(機体)」が変わる合図でもあります。2027年12月、新制服の初披露の場において、ANAは「未来の機体デザイン」のコンセプト、あるいはその試作塗装機を世界に提示することになるはずです。

サステナビリティという名の「不可避な強制力」

機体ペイントを変える理由は、単なるイメージ戦略だけではありません。そこには「コスト」と「地球環境」という、極めて切実な理由が存在しています。

「重さ」という名のコスト

最新の塗料技術は、40年前とは比較にならないほど進化しています。現在のトリトンブルーの塗装は、大型機一機あたり数百キログラムもの重量を機体に加えています。これを最新の「軽量塗料」に全面的に置き換えるだけで、燃費は確実に向上します。
カーボンニュートラルを掲げ、2030年度までにCO2排出量を10%以上削減(2019年度比)するという野心的な目標を持つANAにとって、塗装の軽量化は避けて通れない課題なのです。

リブレットフィルム(サメ肌)の全面採用

ANAはすでに、ニコンなどと共に「サメの肌」を模した微細な溝を持つリブレットフィルムの実証実験を重ねてきました。空気抵抗を1〜2%減らすこの技術は、2026年以降、主力機材であるボーイング777や787へと本格的に拡大されます。
「塗料」から「フィルム」へ。機体を包む素材が変わる時、デザインの自由度は格段に上がります。これまでの直線的なラインから、より複雑で流動的なグラフィックが可能になるのです。

次世代の旗手「ボーイング777-9」の登場

ANAがペイントを変える具体的、かつ最大のチャンスは、次世代大型機である「ボーイング777-9(777X)」の導入です。
2027年には一応、ANAは最新鋭の777-9を順次受領する予定です。これは単なる機材の更新ではありません。世界最長の旅客機であり、かつてない燃費効率を誇るこの「未来の翼」が、45年前のデザインをそのまま纏って登場するとは考えにくいものです。

「THE Room FX」との調和

2026年8月に登場する最新の「THE Room FX」をはじめとする機内プロダクトは、日本の伝統的な美意識とモダンな機能性を融合させた空間です。
外装デザインもまた、この「新しい日本」を表現するものでなければなりません。777-9という圧倒的な存在感を持つキャンバスに、これまでのトリトンブルーを現代的に再解釈した「第2世代のリバリー」が描かれる日は、そう遠くないでしょう。

水素航空機への架け橋

さらにその先、2030年代には水素航空機の導入も視野に入っています。機体形状そのものが大きく変わる可能性が高い次世代機において、現在のリバリーの文法は通用しなくなります。777-9でのデザイン変更は、来るべき「完全な次世代デザイン」への橋渡しとなる重要な役割を果たすことになるでしょう。まあ、長距離路線では、ロールスロイスが革新的な電気に頼らないエンジンを開発しているので気になるところではありますが。

まあ、以上からすると、さらに空気感と言うか、さらりとしたふんわりなデザインが生まれるかもしれません。

そのデザインは「何」を捨てるのか

では、ANAがペイントを変える時、一体何が残り、何が消えるのでしょうか。

おそらく、「トリトンブルー」という象徴的な色名は残るでしょう。 しかし、その「使いどころ」は劇的に変わるはずです。

現在のような「白地に青いライン」という構成は、メンテナンス性と熱吸収の観点から、より「白」の面積を増やし、青を「アクセント」として効果的に配置する形へと進化します。例えば、尾翼から後部胴体にかけて、デジタルの風や、大気の流れを感じさせるような、より有機的で繊細なグラフィックになるのではないでしょうか。

また、尾翼の「ANA」という三文字。昨今の「フラットデザイン」の流れを受け、より太く、より力強く、しかし装飾を徹底的に削ぎ落とした、デジタル画面でも鮮やかに映えるモダンなサンセリフ体へとブラッシュアップされるはずです。
それは、私たちが20年間愛してきた「ANA」でありながら、どこか「新しい時代の日本」を予感させる、そんな絶妙なバランスのデザインになるはずです。

また、ルフトハンザの何周年かの記念ペイントが何かしらのヒントにもなりそうです。

最後に

現在のANAのペイントは完成されており、40年以上、目にすることができます。ライバルのJALは二転して、再び鶴丸に戻り、シンプルになっています。また、姉妹とも言えるPeachは姉よりも先にデザインを一新しています。

ANAも機体に漢字の全日空と言う文字をなくしたり、Inspiration of JAPAN を追加したりと少しずつ変化はあります。その効果なのか、ANAを「アナ」と呼ぶ人が当たり前になり、当の本人は「エーエヌエー」と名乗っています。まあ、日本人だけの問題で海外ではそうしたことはないと思いますが。

近々にデザインが変わるのか、制服が変わった後に変わるのか、はたまた、100周年を契機とするのか、不明ですが、結構大きない取り組みとなるでしょう。

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