ピジネスクラスのシートで座る場所について、後ろの席に当たってしまった場合、損なのか実際に搭乗して検証してみました。
ジェット旅客機の主な音
ボーイング787などのジェット旅客機が発生する音は、エンジンから高速で噴出される燃焼ガスと空気が摩擦して起きる音(ゴーという音)とジェット燃料を空気と混合して燃焼ガスとして噴出するために空気を圧縮するタービンの音(キーンという金属音)、機体が高速で飛行する際に機体表面と空気が擦れ合う風切り音が主であります。
その中で、燃焼ガスと空気が摩擦して起きる音(以下ゴー)は飛行機が推進するための原動力であり、離陸時がもっとも大きく盛り上がり、安定飛行に入ると一定のリズムに変わり、着陸時はあまり推進力を必要としないため、ゴーは一番おとなしくなります。
続いて、タービンの音(以下キーン)は、飛行機がゲートを離れた時点からスタートし、離陸時にピークを迎え、その後は一定のリズムに変わり、着陸時にはゴーの音が減少する分、キーンが目立ちます。キーンが始まるとエンジンスタート・離陸と感じ、この音が切れ出すとベルトサインが消灯し、荷物を取り出すタイミングにしている人も多いと言えます。
同時に金属をはじめとした部品が回転するため、機内に少なからず振動も伝わってきます。エンジンから翼を介して、翼が胴体と接続している部分(胴体の真ん中あたり)の振動が多いと言えます。ただし、最新機材では振動対策が優れているため、機体前方や後方と振動が大きく困る程ではありません。
最後に、風切り音は胴体と空気がすれる音であり、胴体のどこでも聞こえる音で、言葉に表すザァーという音と言えます。(表現が下手ですいません)
ビジネスクラスのシートはどの位置が最適か
以上からすると、翼付近から後方はエンジンが発生するノイズの影響が風切り音に加えて影響を受けやすいと言えます。そうした意味においては最前方から機体中央まで配置されているビジネスクラスでは前方の方が快適と言えます。
機外からの音だけでなく機内からの雑音の方が注意
巨大な機械であるエンジンはノイズの最大の発生源でありますが、安定飛行している際は一定の音であり、慣れることにより、気にならなくなります。
一方で、機内から発生する音はリズムもなく、予期せずに聞こえるため不快と言えます。こうした音は下記のとおりです。
トイレを流す(吸引すると言った方がよい)音
ギャレー(CAさんが機内食やドリンクなど用意する場所)から漏れてくる食器など擦れる音
乳幼児の泣き声
以上の音の発生がするのは、非常口付近に集中しています。トイレは非常口の近くにあり、ギャレーもその近くにあます。そして、泣く子は育つ我が子をあやすために行く場所は非常口付近が多く、予測できないリズムの音が続き、エンジンなどが発生する一定の音よりも気になります。
そうした意味においては、ビジネスクラスでは最前方に次いで、非常口から遠い、最後方の席も良いと言えます。
ビジネスクラス搭乗記 後方シート
NH886便クアラルンプール発のボーイング787-9型機です。マイル修行では一番お世話になるルートです。
ということで、ANAボーイング787-9型機では最も後方の窓側席の11Aです。
窓の外を見るとロールスロイスの大きなエンジンと「睨めっこしましょ、アップップ」です。幸い、トイレはギャレーを挟んだ前にあるため、場所としては良いと言えます。
ドアが閉まり、トーイングトラクターで機体がプッシュバックされ、ロールスロイスエンジンがスタートします。ロールスロイスのエンジンはパワフルでありますが、スタートからのふかしは意外と静かであります。
セーフティービデオはヘッドフォンをしていなくても普通に聞こえます。
離陸
離陸をエンターテイメントとして考えるとエンジンはいいBGMであり、上昇に合わせて良い音を奏でます。高度は1万メートル近くに到達し、安定飛行に入ると風切り音「ザァー」が強くなってきます。エンジンのタービン音は一定となり、慣れてきます。
この日はかなり新しいボーイング787であったため、エンジンカウルに機体が反射して見えます。高度1万メートルでの機体を機内から見えるのはなかなか珍しいと言えます。
ヘッドフォン
機内で快適に過ごすには、機内エンターティメント(IFE)を使い倒すのがベストであります。日本未公開の映画を見ることが可能であり、見逃したドラマをキャッチアップすることもできます。
そして、その時に役立つのがヘッドフォンであります。ビジネスクラス備え付けのヘッドフォンでもいいですが、ノイズキャンセリングヘッドフォンを持ち込むと機内での快適さが断然上がります。
現在使用しているのはソニーのWH-1000XM3を使用しています。
以前はマイル修行=荷物最軽量至上主義でインイヤータイプを利用していましたが、密閉型+ノイズキャンセリングの組み合わせの快適さに感動し、今では持ち歩いています。
同社のノイズキャンセリングの性能は業界トップクラスであり、特に機内でチューニングしたとも言えるほど、飛行機内でノイズ消しのパワーはすごいと言えます。
一方で、新幹線において、時速300km/h超でトンネルに突入した際の初動のノイズキャンセリングは不自然なところもありますが、フィット感や充電性能(急速充電)、新世代のインターフェース(USBタイプC、ただしPDタイプには反応しない)はオールラウンドに優れています。
ソニー製品に対抗する製品として、BOSE製のヘッドフォンもノイズキャンセリング機能が優れているほか、本来の音質も良いと言えます。
ANAでは、機内免税品としてBOSE製のヘッドフォンを販売しており、免税により、日本国内で購入するよりもお得の他、ANAカードで購入すると地上で買うよりもさらにお得と言えます。
カカクコムやアマゾンで最安を狙うか、ポイントを考えてしまいますが、ポイントの最終目的地がANAマイルの場合は、機上で購入するのがベストとも言えます。
BOSEのヘッドフォンも急速充電に対応しているため、機内で購入し、機内食を堪能している間に映画一本ぐらいの充電をしてくれるため、買ってすぐ活用できるかもしれません。
ながら機内食は空の上ではOK
食事をしながら、テレビを見たり、スマホをしたりするのは、一般的にあまりお勧めできません。
しかし、機内では、ノイズキャンセリングヘッドフォンを装着して、映画に没頭しながら、食事とドリンクを楽しむのは、とても良い時間の過ごし方と言えます。ノイズが没収され、映画に没頭しつつ、食事を楽しめるのは一挙両得に時間が過ぎ、とても有効であります。
また、普段のテレビで頻繁に放送されているようなドラマも機上で見ていても、ヘッドフォンとモニターとの距離からすると自宅のソファで寛いでいる錯覚も感じます。
特に、ANA886便が飛んでいる14時から17時台に「科捜研の女」を見ると、自宅で再放送を見ているのと変わりません。「科捜研の女」はシーズンを重ねるごとにBGMが多くなっており、機内ではノイズキャンセリングヘッドフォンが活躍します。
ビジネスクラスではトイレ付近以外は快適
ANAボーイング787-9型機のビジネスクラスは機首から翼が結合されている機体中央まで続いていますが、トイレが近くない、最前方または最後方は良いと言えます。
最前列とエンジン近くの最前方を比較すると機体後方のノイズは大きいものの、一定のリズムであり、慣れます。加えて、ソニーやBOSEなどのノイズキャンセリングヘッドフォンを使用すると驚愕の静かさが待っているため、最前列でも、最後列でも満足であります。
最後に
以前、MD80という胴体後方にエンジンが直接ついている機体の最後方に座ったことがありますが、音や振動がものすごかった記憶があります。
現在、長距離を飛ぶ旅客機はほぼ翼にエンジンが設置去りており、ノイズも低くなっているため、最前方は依然としてベストなものの後方でも落差は少ないと言えます。
そして、ノイズキャンセリングヘッドフォンという、一瞬で喧騒を消す存在により、個人の過ごし方をパワーアップしてくれます。そうした意味では、ビジネスクラスのシートはトイレ近く以外を選択すればどこでも快適であります。さらにノイズキャンセリングヘッドフォンを持ち込めば、仕切りの付いたファーストクラス級の快適さとも言えます。
翼付近では、翼とともに夕焼けなんかも撮影できるため、空の旅を記録することもできます。