2019年からANAの国際線は大型機で2機種、中型機で4機種、小型機で2機種あり、ボーイング、エアバスと海外に初めて行く人にとっては良くわからないことが多いと思います。自分がどんな座席に座るのか、予約の際に良い座席に座れるのか簡単に把握するため、まとめてみました。
ANAビジネスクラスの座席は2種類
距離に応じて、座席を使い分け
ANAでは、日本から飛行時間により、二つのタイプのビジネスクラス座席を用意しています。一つは、日本から2時間~7時間ぐらいの飛行時間のフライト用の座席と、それ以上の飛行時間のフライトで座席を分けています。
短距離は「椅子」タイプ
理由としては、7時間位だと座った姿勢でいてもそれほど苦痛にならないからであります。日本時間の日中に移動する飛行が大半のため、普段の生活サイクルから起きていることが多いほか、機内食など食べていたりすると時間が過ぎ、眠くなる暇もないと言えます。
ビジネスクラスでは足元に余裕があり、椅子の幅も余裕があります。そして、背もたれも大きく傾けるため、少し目を閉じたい時でも快適です。
長距離は「個室」タイプ
一方で、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアに行くフライトでは、飛行時間が10時間超のフライトが大半であり、さらに欧米では時差もあります。日本を昼に出発しても、夜に出発しても普段、日本で暮らす人にとっては「眠く」なる時間を迎えます。
さらに、サービスを提供する側からもお客様が眠れないと色々と対応が必要であり、快適に寝てもらった方が、お客様のためにもなり、ひいては、同社のメリットにもなるため、積極的に寝てもらった方がWin-Winの関係となるところであります。
こうした理由から、飛行時間が長い欧米や深夜に飛行する夜行便(英語ではレッドアイフライト/語源は睡眠不足で目が赤くなるため)では、「眠りやすい」形状のビジネスクラス座席を用意しています。
2種類の座席はこれ
先述のとおり、座席は枝葉末節では相違はあるものの、大きく分けると2種類に分類できます。
近・中距離用座席
ANAビジネスクレードル
写真のとおり、「椅子」という印象が強い座席であります。一般的に公の場に外出している場合、日中はあまり眠気も少なく、着座体制でいることは苦痛とは言えません。日本時間の日中時間帯で完結するような、近・中距離便では椅子型の座席を用意しています。
椅子と言っても、エコノミーと比較すると座席間隔・座席間隔は広く、リクライニングはより深く倒れます。また、シートモニターもより大きくなっています。
ANAでは上記のようなシートを近・中距離用では用意しています。ANAでは「クレードルシート」と呼んだりしています。クレードルとはゆりかごを意味し、包まれるように着席できるというコンセプトの意であります。
スペック
シート間隔は127~150センチ
シート幅は51~55センチシート
モニターサイズは10~12.1インチ※
※小型機B737では設置なし。ホータブルメディアプレーヤーの貸出
注意点としては窓側に着席の場合、通路側の座席に着席している人がいる場合、「失礼します」と声掛けが必要です。リクライニングを倒して、睡眠している場合はジャンプ力マックスで飛び越えるか起こして「失礼します」と言う必要があり、隣席に人がいる場合はトイレに行きづらく感じる人もいると思います。
長距離用座席
ANAビジネススタッガード
一方で、長距離便では、椅子というよりも「個室」というか「ブース」というイメージが強い座席が提供されています。
これは基本的に寝ることを大前提に造られており、床に就いた時のように180度水平にした時に他の人の目を意識せずに(自己満足が強く、通路からは結構、寝顔や寝相は見えてしまいますが)眠れるように施した結果の最新型が写真のようになっています。
ANAでは「スタッガードシート」(ジグザクの意味)と呼んでいます。全席通路側に隣席の人を跨いでアクセスする必要はありません。景色が楽しめ、通路側アクセスできる窓側の座席は大人気です。
スペック
シート間隔は150~157センチ
シート幅は53センチシート
モニターサイズは17~18インチ
であり、ANAではシートやテーブルの色やモニターサイズが多少違うものの、「個室」タイプはすべてこのタイプで統一されています。
座席タイプの違いによる他サービスの違い
座席が「個室」と「椅子」で大きく異なるタイプにより、機内での他のサービスに違いが出るか比較してみます。
機内食は飛行時間帯や飛行距離により違う
座席のタイプが異なるとテーブルの大きさも異なり、提供する機内食に相違があるかというとそんなことはありません。機内食は出発する時間により、内容が変わります。
朝であれば、さっと食べられる朝食と小腹が空いた際の間食、昼発便であれば、品数が多く、ボリュームのある昼食と間食、夜行便であれば、好きな時に食べられる夜食と到着前にさっと食べられる朝食または昼食と言ったスタイルとなっており、座席タイプには依存していません。
インターネット接続はいずれ、全機完備
一昔前、空の上はスマホの電波が届かない聖域でしたが、衛星通信等の技術の進展により、インターネット接続もかなり普及してきました。ANAの場合、大型機は完備、中型機もほぼ完備し、非搭載機も搭載に向けて準備しています。小型機は近年の入れ替えが進んでおり、インターネット搭載比率は高くなっています。いずれは全機完備される方向に進んでいます。
目的地別に座席タイプは把握可能
機材により、シート間隔やテレビの画面サイズは微妙に違いますが、基本的には目的地別に座席のタイプは判別できます。地域別のビジネスクラス座席タイプは下記のとおりです。
アメリカ(ハワイ含)・カナダ・メキシコ・ヨーロッパ・オーストラリア
これらの地域は飛行時間が10時間前後またはそれ以上、加えて、夜行便となるため、「眠る」前提の座席が用意されています。そのため、前述のとおり、「個室」のよう座席が提供されます。欧米豪は「個室」と覚えれば簡単です。
東南アジア
東南アジアについては平均すると7-10時間の飛行時間があります。東南アジアは日本との時差も1-3.5時間程度であり、時差ボケが著しく生じる場所でもありませんが、それが故にビジネスでもレジャーでも短期間に往復することが多いと言えます。人間というものは滞在時間が限られるとフライトを有効に活用しようと考える人が多く、東南アジアでは昼に移動するフライトでも眠りたい需要が多いといえます。
以上を含めて、東南アジアでも遠い国(インド、タイ、シンガポール、マレーシア)では、2019年夏にはすべて個室タイプのビジネスクラスの座席を提供します。インドネシアだけは個室タイプと椅子タイプが混在しますが、個室タイプに収斂されていく可能性があります。
比較的新規に就航した日本に近い東南アジア諸国(変な表現ですいません)の路線は人口が多いand/or平均年齢が低く、エコノミークラス需要が高いためか、エコノミークラスの座席数が多い機材が用いられていることが多いです。そのため、ビジネスクラスでは一人当たりスペースがコンパクトとなっている「椅子」タイプが用いられていることが大半です。
東アジア
ANAでは東アジアに就航している国は中国(香港含む)、隣国・韓国と台湾となります。
先述のとおり、ほとんど日中の移動であり、体を水平にして眠らなければどうしても困ると言うことも基本的になく、「椅子」タイプのシートの機材が多用されています。そして、人口が多い地域のため、より多くのお客様を運ぶためにもスペースを取らない「椅子」タイプの方が、理にかなっていると言えます。北京と上海と香港は「個室」タイプのシートで運用されることもあります。
目的地別の座席一覧
機材を考えなくても、基本的には「椅子タイプ」と「個室タイプ」に分類できますが、機材(飛行機の型番)は初めての海外渡航者の方でもよく目にしたりするほか、耳にするため整理しておきます。
東京(羽田/成田発着)
北米・欧州・オーストラリア
国名 | 目的地 | タイプ | 機材 |
アメリカ | ワシントンDC | 個室 | B777 |
ニューヨーク | 個室 | B777 | |
シカゴ | 個室 | B777 | |
ヒューストン | 個室 | B777 | |
サンフランシスコ | 個室 | B777 | |
ロサンゼルス | 個室 | B777 | |
サンノゼ | 個室 | B787 | |
シアトル | 個室 | B787 | |
ホノルル | 個室 | B787 | |
個室 | A380 | ||
個室 | B777 | ||
カナダ | バンクーバー | 個室 | B787 |
メキシコ | メキシコシティ | 個室 | B787 |
イギリス | ロンドン | 個室 | B777 |
ドイツ | フランクフルト | 個室 | B777 |
ミャンヘン | 個室 | B787 | |
デュッセルドルフ | 個室 | B787 | |
フランス | パリ | 個室 | B787 |
ベルギー | ブリュッセル | 個室 | B787 |
オーストリア | ウィーン | 個室 | B787 |
オーストラリア | シドニー | 個室 | B787 |
パース | 個室 | B787 |
東南アジア
国名 | 目的地 | タイプ | 機材 |
インド | デリー | 個室 | B787 |
ムンバイ | 個室 | B787 | |
シンガポール | シンガポール | 個室 | B787 |
マレーシア | クアラルンプール | 個室 | B787 |
タイ | バンコク | 個室 | B787 |
インドネシア | ジャカルタ | 個室 | B787 |
椅子 | B787 | ||
カンボジア | プノンペン | 椅子 | B787 |
ベトナム | ホーチミン | 椅子 | B787 |
ハノイ | 個室 | B787 | |
ミャンマー | ヤンゴン | 椅子 | B767 |
フィリピン | マニラ | 椅子 | B787 |
個室 | B787 |
東アジア
国名 | 目的地 | タイプ | 機材 |
韓国 | ソウル | 椅子 | B787 |
台湾 | 台北桃園 | 椅子 | B787 |
台北松山 | 椅子 | B787 | |
中国 | 香港 | 個室 | B777 |
個室 | B787 | ||
椅子 | B787 | ||
椅子 | B767 | ||
北京 | 個室 | B777 | |
個室 | B787 | ||
椅子 | B787 | ||
椅子 | A320 | ||
上海浦東 | 個室 | B787 | |
椅子 | B787 | ||
椅子 | B767 | ||
上海虹橋 | 椅子 | B787 | |
瀋陽 | 椅子 | A320 | |
大連 | 個室 | B787 | |
椅子 | B787 | ||
青島 | 椅子 | B767 | |
椅子 | B787 | ||
杭州 | 椅子 | A320 | |
広州 | 椅子 | B767 | |
武漢 | 椅子 | A320 | |
成都 | 椅子 | B767 | |
厦門 | 椅子 | A320 |
関西発着
国名 | 目的地 | タイプ | 機材 |
中国 | 香港 | 椅子 | B737 |
北京 | 椅子 | A320 | |
上海浦東 | 椅子 | B767 | |
大連 | 椅子 | A320 | |
青島 | 椅子 | A320 | |
杭州 | 椅子 | A320 | |
広州 | 椅子 | B767 |
中部発着
国名 | 目的地 | タイプ | 機材 |
中国 | 香港 | 椅子 | A320 |
※2019年度国際線機材計画(2019年1月23日)より。機材繰りの関係から直前に表記した以外の機材になることもあります。
機材変更などによるダウングレードは少ない
故障や天候不良を原因として搭乗予定の機材が変更となる場合、長距離便で機材が用意できない場合を除けば、同等の座席の設置された機材が用意され、スペック的にはダウングレードされることは少ないと言えます。
ただし、使用期間が長い機材は経年劣化している等で少しがっかりすることはありますが、毎回ということはほとんどないと言えます。
逆に間合い運用で、短距離路線で個室タイプの機材が運航されることがあり、そうした場合はラッキーと言えます。さらに、この中でファーストクラスが設置された機材が飛んでいることもあり、ファーストクラスの座席をビジネスクラスとして利用されます。北京、香港、シンガポール、バンコク各路線で「B777」の機材を見つけたら、座席指定画面でチェックしてみるのも良いかもしれません。
最後に
ANAのビジネスクラスのシートは他社と比較するとタイプが大別でき、それぞれのタイプの各仕様はほぼ統一されています。また、路線別に座席タイプを振り分けているため、わかりやすいと言えます。そういう意味においては、ポイントを押さえれば、どんな座席に座るのか簡単に理解できます。