弾丸トラベルは怖くない!

マイル、飛行機、鉄道、海外・日本国内トラベル情報、ホテル、海外発券など

アラスカ航空ワンワールド加盟でシンガポール航空との関係解消につながるか

スポンサーリンク

アラスカ航空

アラスカ航空のワンワールド加盟はブレーキングなニュースでしたが、その背景を探ってみました。現時点では何も決まっていないかもしれませんが、両社の関係解消について考えてみました。

アラスカ航空ワンワールド加盟

アラスカ航空ワンワールド加盟

アラスカ航空のワンワールド加盟は2021年夏まで実施する予定であり、2020年3月に解消予定であったアメリカ航空とのコードシェアを継続します。

さらに、シアトルとロサンゼルスから国際線においてもコードシェアを計画しており、アメリカン航空とかなり深く結びつくこととなります。

スターアライアンスの対抗馬としてできたワンワールドですが、最近は加盟する航空連合が少ない時期が続きましたが、2020年にはモロッコのナショナルフラッグシップキャリアであるロイヤルエアモロッコが加盟します。

また、2020年10月にLATAMが脱退するものの、中国ビッグ3の中国南方航空はアメリカン航空との提携を強化しており、いずれはワンワールドに加盟するかもしれません。

カタール航空がワンワールドを離脱する噂もありますが、フルサービスキャリアの3極化が拡大、アライアンスの中で共同事業による関係強化の方向に進んでいくのかもしれません。

アメリカ国内のエアライン勢力

アラスカ航空の加盟の背景を探るにあたり、まず、アメリカの旅客サービスを提供する航空会社のトップ5の航空会社について、調べてみました。トップ5は下記のとおりです。

アメリカン航空

デルタ航空

ユナイテッド航空

スカイウエスト航空

アラスカ航空

フルサービス3強と地域系キャリアとなっており、メガキャリアが圧倒的な地位を占めているなかで、ローカルやリージョナルキャリアが共生しているようにも思えます。

日本でもANAとJALがあり、地域キャリア(エアドウ、日本トランスオーシャン航空、ソラシドエアなど)似たような傾向がみられます。

アメリカン航空(AA)

アメリカン航空

アメリカン航空は民間の航空会社ですが、ナショナルフラッグシップキャリアとも言えるぐらいの航空会社であり、旅客運送数及び旅客キロ数で世界一の大手航空会社を誇ります。

垂直尾翼には星条旗を唯一模したデザインをペイントしています。

同社はダラスフォートワースを本丸としていますが、2001年にTWAと合併し、TWAのハブである中部のセントルイスの他、もともと強かったロサンゼルスを強化しています。

また、ロンドン線を強化したことにより、ワンワールドに加盟するブリティッシュエアウェイズと共に盤石なロンドン路線を確保しています。

また、スターアライアンスに加盟していたUSエアウェイズと色々とあったものの合併し、世界一の航空会社となっています。

路線で言うとアメリカ国内ではM&Aの影響もあり、アメリカ南部、東海岸が強く、西部ではロサンゼルスが強力なハブであるものの、他のアライアンスよりも西海岸では弱いように感じます。

デルタ航空(DL)

デルタ

現存する航空会社ではアメリカ最古の歴史を持つ航空会社であり国内線が主体でしたが、1991年に破綻したパンアメリカン航空の大西洋路線を買い取り、国際線にもシフトしていきます。

さらに2010年1月末に文字通り、アメリカ北西部に強い「ノースウエスト航空」と合併し、一時は世界最大となりました。

また、同社との合併により、旧ノースウエスト航空が保有していたアジアネットワークを獲得し、成田をハブとするアジア各地の路線もデルタ便となりました。

さらに、シンガポール航空が保有していたヴァージンアトランティック航空の株式を買い取り、メジャー株主となり、盟主でもあるスカイチームとの連携を強化し、国際線のネットワーク強化も継続しています。

アメリカ国内ではアトランタをハブとしてニューヨークにハブはないものの、国内線のネットワークは強いと言えます。

ノースウェスト航空と合併により、西海岸も比較的強く、シアトル、ポートランド、ロサンゼルス、ソルトレークシティを拠点としています。

また、海外ではスカイチームキャリアと連携し、アムステルダム、パリ・シャルル・ド・ゴール、ソウル仁川を拠点化しています。

ユナイテッド航空(UA)

ユナイテッド

名前のとおり連合な航空会社であり、アメリカ国内線も強いですが、国際線も強い航空会社です。そして、世界最大の航空連合であるスターアライアンスの盟主であり、コードシェア便まで含めると世界最強のネットワークを有している航空会社と言えます。

アメリカでのハブ空港は本拠地のシカゴ、ニューアーク、ワシントン・ダレス、ヒューストン、サンフランシスコ、デンバーと全米の東西南北にあり、それらの都市を結ぶほか、その都市からの世界各地への国際線の就航も多いのが特徴です。

2010年10月には国際線に多くの路線を有していた旧コンチネンタル航空と合併し、さらに国際線は強くなり、日本人の視点からするとグアムなどのミクロネシア地域もアクセスしやすくなっています。

以前は成田をハブとして東南アジアへのフライトも多かったですが、現在は北米便のみとなっています。

アメリカ国内では西海岸はサンフランシスコ、中部ではシカゴ、東海岸ではニューアーク、南部ではヒューストンと全米各地で乗り継ぎポイントがあり、国際線と国内線の接続は比較的良いと言えます。

一方で、国内線は長距離線が主体であり、全米各地間の乗り継ぎは他のビッグ2よりも弱いかもしれません。リージョナルな路線は便名をUAとしつつも、リージョナルキャリアを黒子として利用している路線も少なくないです。 

スカイウエスト航空

スカイウエスト航空

同社の名称は世界的にさらにアメリカ国内でも知らない人が多いかもしれませんが、アメリカ4位の規模を誇っています。

同社は先述の大手キャリアから主に短距離国内便の業務を受託し、小型機で任務を行うリージョナルキャリアであります。搭乗する人はアメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空としか感じませんが、実際はスカイウエスト航空が担っていたりします

日本でもビジネスモデルとして良く知られている格安航空会社のサウスウエスト航空とは別となります。

他の業界で似たような業界としては電子機器を受託生産する鴻海精密工業や人材派遣のアデコが近い存在と言えます。アメリカでは東西問わず、北部アメリカでネットワークが強く、アメリカン、ユナイテッド、デルタ、アラスカの便名を支えています。

アラスカ航空

アラスカ航空

1932年にアンカレッジ間のフライトからスタートし、名称のとおりアラスカに本拠地がある航空会社にも見えますが、航空自由化の波に乗り、ネットワークを拡大し、アメリカ西海岸では最大のネットワークを保有するキャリアです。

本拠地はシアトル・タコマ空港の近くにあり、ハブ空港はシアトル、ポートランド、ロサンゼルス、サンフランシスコ、アンカレッジとなっています。

このほか、サンディエゴ、サンノゼも焦点空港となっており、西海岸の大空港をほぼカバーしています。

西海岸に弱いアメリカン航空とのつながりが長く、その関係からワンワールド航空会社とのつながりも自ずと深くなっています。

アライアンスに加盟しないキャリアとの連携も多く、アメリカ西海岸に就航が多い、エミレーツともコードシェアなどで提携しています。このほか、スカイチームの大韓航空、スターアライアンスのシンガポール航空とも提携しています。

日本では認知度は低いですが、西海岸の空港に行くとよく見るイヌイットの顔が特徴的です。

シンガポール航空との関係

シンガポール航空

アラスカ航空とのコードシェア

シンガポール航空ではアメリカでは下記の都市に就航しています。

ニューアーク、ニューヨークJFK、ヒューストン、シアトル、ロサンゼルス、サンフランシスコ

シンガポール航空のアメリカ行きのフライトを検索するとわかると思いますが、就航地以外へのアメリカ各都市のフライトはアラスカ航空またはジェットブルーであることをよく見かけます。

アラスカ航空とのコードシェアのルートは下記のとおりです。

ロサンゼルス

アンカレッジ、ボルチモア、ボストン、シカゴ、ダラス・ラブフィールド、フォートローダーデール、ホノルル、カフルイ、ラスベガス、ロレート、ロス・カボス国際、ニューヨーク(ジョンFケネディ)、ニューヨーク(ニューアーク)、ポートランドプエルト・バジャルタ(グスタボ・ディーアス・オルダ)、ソルトレイクシティ、サンフランシスコ、サンノゼ、サンタローザ、シアトル、ワシントン(ダレス国際)、ワシントンD.C.(レーガン・ナショナル)

サンフランシスコ

オースティン、ボストン、シカゴ、ダラス・ラブフィールド、フォートローダーデール、ホノルル、カフルイ、ラスベガス、ロス・カボス国際、ナッシュビル、ニューヨーク(ジョンFケネディ)、ニューヨーク(ニューアーク)、パームスプリングス、ポートランド、ソルトレイクシティ、サンディエゴ、サンタアナ、シアトル、ワシントン(ダレス国際)

シアトル

アンカレッジ、アトランタ、オースティン、ボイシ、ボストン、カルガリー、シカゴダラス、デンバー、エドモントン、エルパソ、ユージーン、ホノルル、ヒューストン、カフルイ、ケローナ、ラスベガス、ミネアポリス/セントポール、ニューオリンズ、ニューヨーク(ジョンFケネディ)、ニューヨーク(ニューアーク)、オーランド、パスコ、フェニックス、ポートランド、サクラメント、ソルトレークシティ、サンディエゴ、サンノゼ、スポケーン、セントルイス、バンクーバー、ヴィクトリア、ワシントン(ダラス国際)

ジェットブルーとはニューヨークJFK線の20都市ユナイテッドとはヒューストン線の8都市となっています。

アラスカ航空ネットワーク

スターアライアンスであれば、ユナイテッドのネットワークを活用すれば良さそうですが、スターアライアンス創設メンバーであるユナイテッドが同連合にシンガポール航空が加盟するにあたって消極的であったなど大人の事情があるようです。

アラスカ航空もジェットブルーもネットワークがないヒューストンに直行便を就航させた2016年になって初めてユナイテッドとアメリカ国内線でコードシェアをしています。

今ではシンガポールのアメリカ直行の太平洋線でコードシェアを実施するなど、提携は強化しているようです。

このようにシンガポール航空はアメリカ国内ではアラスカ航空なしには成り立たないくらいの立場となっています。

アラスカ航空のマイレージサービス

Mileage Plan

アラスカ航空のマイレージサービスは「Mileage Plan」と言う名称であり、日本人があまり利用するプログラムとは言えませんが、アラスカ航空およびグローバルパートナーを使用すると、世界中の800を超える目的地へのフライトでマイルを獲得および交換できるプログラムであり、大陸を跨いだ特典航空券の確保もできます。

また、正規に自社のマイルを購入することもでき、度々ディスカウントするキャンペーンも実施されます。

こうした使いやすさに加えてシンガポール航空のアジア域内でのファーストクラスの特典利用が破格のマイル数で利用できたことから、日本国内に在住していて、フライトマイルは加算せずに、マイルを購入して特典利用専門で使う人も多いようです。

シンガポール航空は前段のようにアラスカ航空にアメリカ国内では依存する面があり、こうした点とバーターに同社利用の特典を緩くしてきたのかもしれません。

アラスカ航空とシンガポール航空の関係解消の可能性

亀裂

両社の間で続くニュース

このところ、両社の周りではその関係解消につながりそうなトピックが起きています。アラスカ航空ではシンガポール航空の特典の改悪や今回のワンワールド加盟があります。

一方でシンガポール航空はANAとの東南アジア・オーストラリアでの共同事業による提携強化があります。

アメリカンの思惑かシンガポールの思惑か

特典の改悪については適正化された面が強いですが、ワンワールドに加盟すると加盟する他のエアラインからは別アライアンスであるシンガポール航空に送客する必要性に疑問を持たれることとなるでしょう。

また、アメリカン航空はアラスカ航空との提携が解消されると厳しくなる現実に加えて、サービスの強化やアジアでのネットワーク強化の必要性を認識している可能性もあります。

アライアンス内での共同事業化が進展しており、アジアでの有力なキャリアであるシンガポール航空が東南アジアとオセアニアでANAと共同事業を行うことを発表し、いずれはユナイテッドとのアメリカ国内線を中心としたそれが実現する可能性もあります。

アラスカ航空は前述のとおり、シンガポール航空のアメリカ国内でのアクセスの役割を担っていますが、SQとユナイテッドとの関係が良好となり、共同事業などされると需要が減ることにもなり、独立したフルサービスキャリアとして、それをカバーできなくなり、他で需要を満たす必要があります。

チェス

ANAとの共同事業でスターアライアンスの東南アジア・オセアニアが強化されるとワンワールドとしては劣位が広がることも懸念されます。

以上のようなことから、各社の思惑から、アライアンス加盟内で提携を強化して、ネットワークやサービスを高めていく方向に収斂していくのではないかと考えられます。

個人的な見解なので、何とも言い難いところはありますが、起きている事象からするとやはり、アラスカ航空とシンガポール航空の関係解消になるのが自然かもしれません。

マイラーとしてはアラスカ航空の「Mileage Plan」を楽しみにしていた人には残念な結果となりそうです。

一方で、スターアライアンス各社のマイレージプログラムではシンガポール航空のチケットを購入した場合にアメリカ国内線でもマイルやステイタスポイントが積算できる日が来るかもしれません

ワンワールドの上級会員にはアメリカ国内で利用できるラウンジが増えるのは確実であり、三者三様の事情となりそうです。

最後に

アラスカ航空のワンワールド加盟により、マイレージプログラム間の旨味がまた消滅されるかもしれません。

しかし、そのひずみが解消されるとまた、別なところで旨味が生まれる可能性もあり、そうした旨味をいち早く探すのが一番メリットかもしれません。

Copyright ©Dangan-Lucky All rights reserved.