日本国内で鉄道駅と空港が直結している駅をまとめてみました。そして、今後の直結しそうな空港をピックアップしてみました。
鉄道と直結している空港
現在時点で空港と鉄道駅がダイレクトに接続している空港は下記のとおりです。
空港名 | 鉄道事業者名 |
---|---|
羽田空港 | 東京モノレール、京浜急行 |
成田空港 | JR東日本、京成電鉄 |
新千歳空港 | JR北海道 |
仙台空港 | 仙台空港鉄道 |
中部国際空港 | 名古屋鉄道 |
伊丹空港 | 大阪モノレール |
関西空港 | JR西日本、南海電鉄 |
神戸空港 | 神戸新交通 |
米子空港 | JR西日本 |
福岡空港 | 福岡市交通局 |
宮崎空港 | JR九州 |
沖縄那覇空港 | 沖縄都市モノレール |
山口宇部空港は草江駅が近く、実質的には成田空港の離れターミナルから入国、税関、鉄道駅ホームとなる距離的には同等と言えますが、接続できる列車がかなり異なり、且つ、沿線でどれだけ効果があることを鑑み、ダイレクトアクセスとは言えないため、今回は対象外としてみました。
日本三大都市の東京、名古屋、大阪では鉄道は複数空港で確保しており、なかなかと言えまい。そして、札幌や仙台や福岡でも確保しています。委細を見ると微妙ではありますが、国策の成果はあるでしょう。
米子空港や宮崎空港は存在は微妙でありますが、宮崎空港と宮崎駅接続はJR九州にとっては、今後のより地内の大都市でのアクセス鉄道の在り方を見ており、結果が出ているのかもしれません。
海外で高速鉄道と直結している空港
海外において、高速鉄道と空港が直結しているところは多くあります。欧州では定着して当たり前になっているところが多いですが、アジアでは建設したものの運営がうまくいかなかったり、オリンピックに合わせて高速鉄道は乗り入れたものの現在は取りやめてしまったりしているところもあります。
また、高速鉄道と言っても、新幹線をイメージするかもしれませんが、東葉高速鉄道のように名前に高速がついていてもMAX100km/hとなることもあり、時速200km以上で整理してみました。もっとも、空港最寄りのアプローチ線では最高速は出ないものも含みます。
パリ(CDG)
フランスと言えば、新幹線のライバルであるTGVであり、首都パリではもともとの在来線の線路幅とTGVの線路幅が同じということもあり、大きな街と高速新線を効果的に接続しています。
パリ市内ではターミナル駅の接続となりますが、パリ・シャルルドゴール空港では大胆にベルギー方面と南仏方面の路線も設定しています。
世界一の観光都市のパリをスルーしても、パリ郊外でベルギーや南仏方面にダイレクトにアクセスする新幹線があるのも特徴的であります。
フランクフルト空港駅(FRA)
フランクフルト空港ではシャルルドゴール空港のように高速鉄道専用線ではないものの、ドイツの高速鉄道であるICEが乗り入れており、ケルン方面には便利な駅でもあります。ICEとルフトハンザはコードシェアをしていたりと日本ではなかなか経験できないようなこともできるでしょう。
日本でもANAとJRがコードシェアをすれば、国内線と言うことでプレミアムポイントがためやすくなるのですが。
スキポール空港 駅(AMS)
同駅は地下に駅が設けられてあり、アムステルダム中央駅ともブリュッセルとも直結しており、とても便利であります。高速鉄道は国際列車のThalysが1時間に1本間隔で運行しています。
高速鉄道と航空機が競合というよりは共存という感じがする駅と空港です。
未来予想図:鉄道と空港の直結
それでは今後、鉄道駅と直結されそうな空港、加えて直結しているもののパワーアップしそうな空港駅を考えてみました。
静岡空港
静岡空港は東海道新幹線駅が直下に走ると言う奇跡的なロケーションであります。しかもターミナルの地下付近を新幹線線路があり、駅を造りやすいと言えます。
静岡空港は標高132mと結構な高地にあり、太平洋岸で大地震があった場合にも津波の影響は免れ、羽田やセントレアとは性格が異なり、東京と名古屋からは遠いですが、足掛かりにはなりそうです。(東海道新幹線がそうした際に十分に機能を確保できているかは不明ですが)
リニアが開通すれば、おそらく具体化がする可能性もあります。日本の地方ではいみじくも交通手段がなくなり、軽自動車の所有が多くなり、軽自動車の製造大手のスズキは浜松が拠点であり、何とも意味深な駅になりそうです。
熊本空港
現状、熊本市内から熊本空港に行く場合は空港アクセスバスを利用するのがベストと言えます。鉄道で行くとなると豊肥線の肥後大津駅から乗り換えでバスまたはタクシーで接続となります。
これまではこのような体系でありますが、台湾の半導体メーカーの工場を熊本に誘致したことにより、これまでの体制が変わりそうであります。
そもそも人口が多い熊本市から空港への移動に加え、世界的企業の誘致により、アクセスが増えるとなると新たな活路が出てきそうであります。
個人的には肥後大津駅から空港までタクシーで移動した際に結構登るなと感じており、どのような路線になるか興味があるところです。
新潟空港
新潟は日本海側の都市(福岡もそうと言えますが、あまりそうは言われません)では最大の都市であります。金沢市の方が駅前もキレイでありますが、新潟の方が大都市であります。
人口は78万人と静岡よりも大きい都市でもあります。平成の大合併で大きくなったこともあり、田んぼがあるようなところでも区であるのは否定できませんが。
と言っても、戦前から大きな街だけあり、都心部は歴史と風情を感じ、人流が多く、大都市を感じます。
そうした都市にある新潟空港は上越新幹線開業後は東京とのフライトは成田便(コロナ禍で運休中)のみであり、圧倒的に新幹線と言えます。
こんな空港に鉄路を引いても意味がないと言えますが、首都圏空港がインバウンドでひっ迫してくると、新潟空港も応援する形で活用と可能と言えます。
具体的には新潟から北関東(ほぼ群馬ですが)とのアクセスとなります。群馬から羽田へのあクラスを考えた際のバイパスと言えます。
これであれば、ミニ新幹線で空港に立ち寄った後に酒田方面に向かう方がいいかもしれません。
しかし、新潟空港は海辺にあり、しかも、阿賀野川河口沿いにあり、地盤の問題があり、新幹線構造物の建設が地上でも地下でも懸念がありそうです。
新千歳空港
在来線では20世紀から直結していますが、昨今の悪天候ではそれをしてもアクセスできないことが発生しており、北海道と本州の断続感が強くなっています。そうしたことから、悪天候に強い路線を唱える人も多くなっています。
JR北海道では在来線駅の改良を検討するとしており、現状の盲腸路線から苫小牧・釧路方面に直通できる線路を敷設して苫小牧・釧路方面から乗り換えなしでアクセスできるようにしたいようです。
また、2030年あたりに北海道新幹線が札幌まで延伸すると札幌中心部の活気は、衰退する日本とは裏腹に活況を呈するかもしれません。関東から流入する人や資本が近くて便利な札幌都心部で飛躍する可能性もあり、底堅い世界からの需要もあり、北海道新幹線はこれまでの整備新幹線では見たことのない効果(旅客数ではなく、不動産などの再開発がメインと言えますが)に及ぶかもしれません。
そうなると空港と新幹線を接続して、海外と国内に流動を攪拌しようとなるかもしれません。札幌=新千歳の路線はもともと需要が多い一方で、冬場などの悪天候では断絶してしまうリスクも常にはらんでいます。
また、新千歳空港は地理的に北米と欧州からの飛行ルートとしても東京よりも近く、東京都心以外のニーズのバイパスになりうる可能性もあり、到着後に新幹線で空港から直接、道内、東北、北関東にアクセスと言うのもあり得る話です。
国家強靭化とインバウンドの速やかな同線としては、新千歳空港と札幌駅を新幹線で接続するのも有りかもしれません。
最後に
空港に鉄道が直結しているのはとてもうれしいですが、都会以外の場合は需要の関係から列車の本数がなくなかったり、他のニーズに合わせるため、接続性が良くないこともあります。
やはり、空港と鉄道の直結は区があるような大きな街や空港から東西、南北に大きな街が分散されているケースではとても有効かもしれません。