アムトラックの高速特急であるAcela Express(アセラ・エキスプレス)にニューヨークからワシントンD.C.まで乗車しましたので、お伝えします。
Acela Expressとは
アセラ・エキスプレスとはアメリカの鉄道旅客公社が運航する特急列車であり、最高速度240kmの高速列車でもあります。しかし、線路は専用線ではなく、一般の線路を利用するため、表定速度は116km/hと最高速度の差が大きいと言えます。総距離は約734kmであり、ボストンからプロビデンス、ニューヨーク、フィラデルフィア、ボルチモアなどを経由し、ワシントンD.C.に至ります。日本で言うと東京から岡山までの距離となります。
所要時間は約7時間であり、ボストン=ニューヨーク間が3時間50分前後、ニューヨーク=ワシントンD.C.間は約3時間とニューヨーク=ワシントンD.C.間の方がスピードは出るようです。
Wikipediaより
車体はフランスTGVをベースとして、アセラ・エキスプレス用に開発されています。見た目はTGVに似ています。今後予定される新型車両は最高速度を300km/hまで出せる車両になるようで2021年以降に運行開始するようです。
クラスはファーストクラスとビジネスクラスのみの2クラスであり、運賃は高めであります。ビジネスクラスのシート配列は2-2の自由席であり、ファーストクラスは1-2配列の指定席となります。
名前の由来はAccelerationとExcellenceの造語であり、アセラと読みます。日本人からするとアセロラやアレクサ、アクセラと混同しやすく覚えにくいと言えます。
ビジネスクラス乗車記 ニューヨーク=フィラデルフィア
チケットは事前にネットで購入でき、割引運賃もあります。飛行機で言うとANAバリュー3,1と普通運賃があるような感覚です。ロイヤリティプログラムもあり、ポイントの貯まるクレジットカードもあるようです。
ネットでチケットを購入するとメールにてバーコードがついているチケットが受信されます。
改札はなく、車内でバーコードをスキャンして、検札します。このあたりはTGVと似ているところです。もちろん、駅に設置している端末にカードを挿入すれば、紙のチケットも受け取れます。
ニューヨーク・ペンステーションは都会の賑わい
NH110便でJFK空港に到着した後、Uberでペンステーションに向かい、昼前に到着。世界一の都市のど真ん中にあるペンステーションは都会の賑わいと活気を感じます。
機内で飲み過ぎたため、かなりフラフラの状態でニューヨークの真ん中を歩きながら、地下にある駅に。構内は活気があります。コンビニでソフトドリンクを購入し、喉の渇きを潤し、アムトラック専用の待合席に。
乗車
列車はボストンから来るため、乗車するホームの番線案内は10分ほど前に案内されます。案内されるとホームに降りるエスカレーターには長蛇の列ができます。
飛行機と同じロジックなのか窓側よりも通路側の方がシートは占有されており、窓側に座りたい場合は結構座れると思います。


キャビンは飛行機のようなハットラックタイプの荷棚があります。シートはレザーであり、テーブルの引き出し方や窓枠のルーバー形状はTGVにそっくりです。
電源も付いています。窓側の座席に2つ設置されており、通路側は使いにくそうです。
出発
海外の鉄道はルーズかと思うと定刻に到着、定刻に出発です。ニューアークあたりまでは近郊線の間を走るため、ゆっくりですが、それ以降はかなり加速します。
印象としては、線路を含めた基盤で高速化していると言うよりは列車の性能で高速化している感じが伺えます。そのため、200km/h近い走行状態では日本の新幹線では考えられない、振動があり、線路が割れるのではないかと思う程の振動もあります。
車窓は結構よく、河川を跨ぐことが多く、そのたびに独特な橋梁を見ることができます。酔っていることもあり、うとうとしているといつの間にか、最初の目的地であるフィラデルフィアのビル群が見えてきます。
誰もが見たことのあるシーンを実感 フィラデルフィア
アセラ・エキスプレスのフィラデルフィアでの停車駅はフィラデルフィア30丁目駅となります。駅舎は映画で一度は見たことがあるような印象的である建物であります。


フィラデルフィアは歴史のある都市ですが、記憶にあるのは映画「ロッキー」のシーンであります。特にフィラデルフィア美術館の階段を駆け上がるシーンはもっとも印象的であり、今では「ロッキーステップ」と呼ばれています。
そして、ロッキーの像もあります。
ファーストクラス乗車記 フィラデルフィア=ワシントンD.C.
フィラデルフィア駅のラウンジ 「クラブ・アセラ」
翌日、ワシントンD.C.に向けて出発します。ファーストクラスの場合、フィラデルフィア駅の二階にあるラウンジ「Club Acela」を利用できます。
入口は呼び出しボタンがあり、それを押すと開錠してくれます。受付でチケットを確認し、そのあとは自由にと言うのは空港ラウンジと同様であります。
ラウンジは細長い形状であります。






ホットフードはありませんが、それなりにドリンクや軽食は充実しています。
また、プリンタパソコンやワークスペースがあるほか、会議室もあります。電源もあり、不自由のないスペースであります。


歴史的な機関車の写真がディスプレイされている点などユナイテッドクラブのようなラウンジの印象を受けます。
ファーストクラス乗車で事件が
ラウンジにあるエレベータから直接ホームに降りることができます。しかし、ファーストクラスはワシントン方面1号車に設置されているため、ラウンジにあるエレベータからはかなり歩かされます。
乗車し、一人掛けのシートに着座しようとすると、ここは私の座席と言われ、シート番号を確認するとオーバーブッキングであることが判明します。スタッフを呼ぶと、購入順と言うことで違う席(お好み)に移動します。
2人掛けのシートの窓側に。通路側も空いています。スタッフいわく、ここからは空いているのでどこでも大丈夫と言われます。スペースに余裕があるため、良しとします。
座席には飛行機風にセーフティーボードと専用の雑誌もあります。
トイレ
トイレはアクセシビリティ対応であり、広い空間です。ただし、清潔度は米系航空会社のエコノミー程度であり、ファーストとしては物足りなさを感じます。
食事


ファーストクラスでは食事が無料で提供されます。メニューには「チーズとフルーツ」、「チキン」「ラム」「コブサラダ」が選択でき、ラムがよさそうでしたが、敢えてサラダにしてみました。
思いのほかボリューミーであり、キヌアも満載です。ドリンクはアルコールも無料です。
食事はフィラデルフィアを出発して、すぐに提供されるのですが、揺れがものすごくワイングラスは常に持っていないと零れてしまうような状態でした。
食事を終えるとボルチモアに停車。ボルチモア付近の景色について、海は見えないものの河川が多く、割と景色が楽しめます。
ワシントンD.C.ユニオン駅到着
フィラデルフィアから約1時間30分でユニオン駅に到着します。この駅は空港コードを持っており、ZWUであります。築100年以上の建物ながら、レストランやショップが多く、人気のスポットのようです。メインホールを抜けると、国会議事堂が見えます。


最後に
飛行機大国のアメリカにおいて、唯一の高速鉄道であるアセラ・エキスプレスは東京から岡山までのグリーン車、さらに東京から新函館北斗までのグランクラスと比較しても高額であります。乗り心地についても日本の新幹線がいかに滑らかな走りで快適であることを感じさせてくれます。
しかし、行列に並び、ベルトを外す手荷物検査はなく、東海岸の景色を楽しめるのは飛行機旅では味わえない感覚でもあり、たまには鉄道の移動も良いと感じさせてくれます。